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止まったままの身体――ルーヴル美術館《ザレウコス》

  • 執筆者の写真: Rui Zhao
    Rui Zhao
  • 2025年12月16日
  • 読了時間: 1分

 ルーヴルで、この浮彫の前で立ち止まった。理由は単純で、動いていないのに、時間を感じたからだ。


《Zaleucus》本人撮影/ルーヴル美術館にて(2025年6月)
《Zaleucus》本人撮影/ルーヴル美術館にて(2025年6月)

 この《ザレウコス》は、出来事を説明する作品ではない。表されているのは、処罰が行われる直前の一瞬だけ。もう決まっている。でもまだ起きていない。その状態が石の中に残っている。

 腕は上がっている。脚も前に出ている。しかし、意志で動いている感じはしない。法に動かされている身体に見える。壁から出られないことが、そのまま意味になっている。

 表情は抑えられている。筋肉も強調されていない。感情より、構造が前に出ている。その分、緊張だけが残る。

 アニメーションは、動きで時間を作る。でも、この作品は逆。動かさないことで時間を作っている。処罰は起きない。ずっと起きる直前のままだ。


作品データ

《ザレウコス(Zaleucus)》ジャン・グージョン工房1560–1564年頃

 ルーヴル宮殿南翼・クール・カレ上部装飾の浮彫。正義の象徴とされる立法者ザレウコスは、姦通罪に失明刑を定めた。有罪となった息子に片目を失わせ、自らももう一方の目を失った。


© rui

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